住む人のいない家を持っているだけで、税金がかかる。そんな仕組みが、京都市で準備されています。
「空き家税」とも呼ばれるこの税は、まだ始まってはいません。けれど、空き家や別荘を持つ方にとっては、これからの判断にかかわる話です。あわてる必要はありませんが、どういうものかを知っておくと、落ち着いて先を考えられます。
京都市が準備する「空き家税」とは
正式には「京都市非居住住宅利活用促進税」といいます。
その名のとおり、住む人のいない住宅や別荘などの「利活用(使うこと・活かすこと)」を促すための税です。報道では、住む人のいない住宅そのものへの課税は、全国で初めてとされています。
対象になるのは、京都市の市街化区域のなかにある非居住住宅の所有者です。「非居住住宅」とは、そこを生活の拠点として使っている人がいない住宅のこと。ふだん誰も住んでいない実家や、たまにしか使わない別荘などが、これにあたります。
「罰」ではなく、「活かしてほしい」という税
この税のねらいは、空き家の持ち主を困らせることではありません。
京都市は住宅の需要が高い一方で、使われないまま眠っている家が少なくありません。そうした家を、住まいを必要とする人へ橋渡しし、まちに活気を取り戻す――それが、この税の目的とされています。
そのことは、仕組みにもあらわれています。家屋の価値がごく小さいものは免税とされ、事業に使う予定のある住宅や、近く貸す・売る予定のある住宅などは、課税の対象から外れます。「これから活かす家」には、かからないように設計されているのです。税額そのものは、家屋の価値と、立地・広さに応じて決まる二本立てになっています。
いつから始まるのか
この税は、令和4年(2022年)に京都市会で可決され、翌令和5年には国(総務大臣)の同意も得ています。制度そのものは、すでに決まっています。
当初は令和11年度(2029年度)の課税開始が予定されていましたが、課税に必要なシステムの準備などの影響で1年延期され、現在は令和12年度(2030年度)の開始が見込まれています。
「まだ数年先」ではあります。けれど、始まる方向はすでに定まっている、と受け止めておくとよいかもしれません。
京都だけの話とはかぎらない
空き家は、京都にかぎらず全国で増えつづけている課題です。京都市の取り組みが注目されているのも、同じ悩みを抱える地域が多いからです。
税とは別に、国の法律による動きもすでに始まっています。傷みの進んだ空き家は「特定空家」や「管理不全空家」とされることがあり、行政から改善の勧告を受けると、土地にかかる固定資産税の軽減(住宅用地特例)がはずれ、税の負担が上がる仕組みがあります。
「空き家を放っておくとコストがかかる」――その流れは、これから各地に広がっていくと考えられます。
所有者として、今できること
大きな制度の話に聞こえるかもしれませんが、持ち主にできることは、実はシンプルです。
それは、「放置しない」こと。すぐに売る・貸すと決められなくても、家を傷ませないよう見守りながら、これからをゆっくり考える。その時間をつくっておくだけで、いざ動くときの選択肢が広がります。
制度が求めているのも、つまりは「使わないなら、せめて活かせる状態に保っておく」ことです。日ごろの管理は、その第一歩でもあります。
焦らず、まもりながら考える
一輪の「空き家やさん」では、京都・長岡京を中心に、空き家の見回りや清掃、これからの相談まで、一次窓口としてお手伝いしています。
「どうするかまだ決められない」――その段階からで大丈夫です。急かすことはありません。気がかりなことから、まずはお聞かせください。